―大人の修学旅行 7―
ゆっくり時間を気にせず拝観したいと思っていたのが高台寺です。
臨済宗建仁寺派の禅寺ですが、豊臣秀吉の正室 「ねね」 (北政所) が秀吉の菩提を弔うために建立した
寺であり、「ねね」 自身も晩年多くの時間を過ごしたことから、とても壮麗な造りになっています。
たびたび火災に見舞われて多くの建物を失ったそうですが、現存している建物だけでも十二分に素晴らしい
です。 「ねね」 に縁深い寺院だからか、雅な雰囲気ですよ(^'^)
鷲峰山(じゅぶざん) 高台寺
京都市東山区高台寺下河原町526番地
TEL 075-561-9966
拝観時間 9:00~17:00 (17:30閉門)
拝観料 大人600円 中高生250円 小学生以下無料 ※高台寺掌美術館を含む
※その他、詳しくはHPをご覧ください。
こちらは
高台寺天満宮。 「ねね」 が崇拝していた菅原道真公を勧請して高台寺の鎮守社としたものです。
学問の神様と呼ばれる菅原道真公、秀吉と共に天下統一を成し遂げ、出世、長生きした 「ねね」 にちなんで
開運、出世、健康長寿、災難厄除などにご利益があるとされています。
『一度回すと大蔵経という経典を読むのと同じご利益があるとされている。』という、チベットの寺院などでよく
見られるマニ車も設置されています。
旦那さんと一緒にしっかり参拝し、マニ車も回してきました。 ご利益、あるかな??
萱ぶき屋根と丸窓が印象的な
遺芳庵は、高台寺を代表する茶席です。
歴史ある茶室を訪れるといつも思うのですが、本当に質素…でも、凛とした澄んだ空気が流れています。
清貧とはこういうことなのだと思います。
国の史跡、名勝に指定されている庭園は、桃山時代から江戸時代初期の造園の名人として名高い小堀遠州
の作。 現代に蘇らせたのは、北山安夫さんという名庭師です。
池を横切る通路の中央に位置しているのは、月を眺めるための
観月台。 風流ですね!
方丈という建物から
枯山水を眺めることが出来ます。
私は枯山水が好きです。 水を使わずに山や水の風景を表現する日本庭園の様式なのですが、とてもモダン
だと思うんです。 眺めながら想像を膨らませるって豊かな時間ですよね(^'^)
高台寺の枯山水は今、龍を表現した模様になっています。
全長45mの大きな龍だそうですよ。 どこが頭でどこが尾なのか…わかりますか?
写真に写っている門の手前あたりが頭だそうです(^^ゞ
こちらは
霊屋(おたまや)。 「ねね」 の墓所であり、豊臣秀吉と 「ねね」 をお祀りしている所です。
実際に 「ねね」 がこの中で眠りについていると思うと、想像の範疇の歴史がきゅうにリアリティを増してきます。
私は歴史が浅い北海道生まれなので、あまり史跡などに触れずに育ちました。
でも、歴史深い関西に移り住み、史跡を自分の目で見て歩くうちにすっかり歴史のとりこになりました…。
『1秒前は過去』 なんて言いますが、私達が生きている今この時も、いつかは歴史の1ページとして語られる
んですよね。 その時に、少しでも良い時代として語られるといいですね。
臥龍廊(がりゅうろう)と呼ばれる階段を抜けると現れるのは
傘亭。
かの有名な利休の意匠で作られた茶室で、伏見から移築されました。
こちらも遺芳庵と同じく、清貧なたたずまいです(^'^)
高台寺は、京都随一の観光地にありながら静謐な雰囲気に包まれています。
静謐で、でも壮麗で… 「ねね」 が大公秀吉を偲んだ気持ちが伝わりますよ(^'^)
今時期は青もみじが綺麗ですが、春の桜や秋の紅葉も素敵だと思います。
是非、じっくりと訪れてみてください。
※高台寺から続く 「ねねの道」 です。
この日、方丈で 『文芸うちわ展 涼の言ノ葉』 という展示が開催されていました。
※既に終了しています。
創業388年の老舗団扇屋 「小丸屋」 のうちわに、プロの書家と職人の手で文芸作品を一点一点丁寧に
装飾したものが展示されていました。
私が引きこまれたのは、こちらの短歌です。
― 夭折の 母の命の倍生きて 幸せ薄き 母を想ふや ―
…短命だったお母さんを偲ぶ歌です。
私の母はありがたいことにまだ元気に健在ですが、いつか来るであろう 「その日」 を想像するだけで恐怖にも
似た感情が湧き上がります。
この短歌の作者は、私がまだ知り得ない大きな悲しみを何歳で経験したのでしょう…。
そして、母親が生きられなかった年月を過ごした今、記憶の中の母を想って涙したりするのでしょうか…。
でも、私は、作者の母親は 『幸せ薄き』 ではないと思いたいです。
だって、こんなに心の琴線をふるわせる歌を詠む作者に、今も愛されているのだから。